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5.92025
WAF(Webアプリケーションファイアウォール)とは?設定するメリットと注意点を解説
サイトを運営していると、セキュリティ対策の一環として「WAF」という言葉を目にすることがあるかと思います。
本記事では、WAFの基本的な仕組みと、設定することで得られるメリット、そして意外な落とし穴=デメリットについて、制作者目線で分かりやすく解説していきます。
WAFとは何か?
WAF(Web Application Firewall)とは、Webアプリケーション(WEBサイト)への攻撃を検知・遮断するためのセキュリティ機能です。
通常のファイアウォールがネットワークレベルの通信を制御するのに対し、WAFはWebアプリケーション層(HTTP/HTTPS通信)に特化して不正なアクセスや攻撃をブロックします。
主な防御対象となる攻撃
・SQLインジェクション
・クロスサイトスクリプティング(XSS)
・OSコマンドインジェクション
・パス・トラバーサル(ファイルの不正取得)
・WordPressへの総当たりログイン攻撃 など
WAFを設定するメリット
1. サイトのセキュリティが格段に向上する
WAFは、攻撃の兆候があるアクセスをリアルタイムで検知・遮断してくれるため、ゼロデイ攻撃や脆弱性を狙った攻撃にも一定の防御効果があります。
※ ゼロデイ攻撃(Zero-Day Attack)とは、ソフトウェアやプログラムに存在する未発見の脆弱性(セキュリティホール)を狙った攻撃のことです。
例:WordPressでのゼロデイ攻撃
WordPressやそのプラグインにまだ公表されていない脆弱性があると、攻撃者はその情報を使ってログイン画面を突破したり、悪意あるコードを挿入したりできます。
特に人気のあるプラグインでは、発見からパッチ配布までのわずかな時間を突いた攻撃が起きることがあります。
2. メンテナンスの手間が軽減
WAFを導入していれば、サイト側のプラグインやテーマに脆弱性があっても、ある程度の不正アクセスはWAFが防いでくれるため、「脆弱性が見つかった=即座に攻撃される」というリスクを下げることが可能です。
3. 顧客情報漏洩リスクの軽減
フォーム経由で個人情報を扱うようなサイトでは、情報漏洩防止のセーフティネットとしてもWAFは非常に有効です。
WAFのデメリット(注意点)
セキュリティ強化に役立つWAFですが、万能というわけではありません。特に、WordPressサイトを運用している方にとっては注意すべき点があります。
1. 管理画面での一部操作がブロックされることがある
WAFは、PHPコードの送信や特殊なPOSTリクエストを**「攻撃」と誤認識してブロックする**ことがあります。
たとえば、WordPressの「テーマファイルエディター」や「プラグインエディター」からPHPコードを直接編集しようとした場合、「致命的なエラーをチェックするためにサイトと通信できないため、PHP の変更は取り消されました。SFTP を使うなど、他の手段で PHP ファイルの変更をアップロードする必要があります。」と表示され、コードの修正が出来なくなります。
また、固定ページや投稿ページに英文を入力する際にもWAFの挙動には注意が必要です。以前、インバウンド対応のホームページ制作をご依頼いただいた際、クライアントから支給された英文テキストをそのまま投稿画面に貼り付けたところ、何度試してもエラーが発生して投稿できませんでした。
最初はWordPress本体の不具合かと思い、PHPやMySQLなどのサーバー設定を見直しましたが、異常は見つかりません。PHPコードの編集時にWAFが反応するケースがあることは理解していましたが、まさか通常の英文コンテンツでもWAFが誤検知してブロックするとは想定外でした。
原因はやはりWAFの誤検知。英文がサイトの改ざんだとみなされてしまったようです。
2. サーバーエラーの原因になりうる(設定次第)
稀にですが、WAFの設定が厳しすぎると、正規のユーザー操作すらブロックしてしまい、表示崩れやフォーム送信の失敗などのトラブルが発生することもあります。
そのため、WAFを設定したあとは、一度サイト全体を動作確認しておくことをおすすめします。
WAF設定の基本(さくら・エックスサーバーなど)
最近では、レンタルサーバー(さくらインターネット、エックスサーバー、ロリポップなど)で管理画面からワンクリックでWAFを有効化できるようになっています。
WAFは、常に最新の攻撃パターンに対応するようアップデートされているため、一度オンにしておくだけで継続的に保護が受けられるのもポイントです。
結論:WAFは基本「ON」で。ただし一部の操作には注意を
WAFはセキュリティ対策として非常に有効であり、企業サイトやWordPressサイトには必須レベルの機能です。ただし、開発やカスタマイズを行う際には一時的にOFFにするなどの柔軟な対応も必要です。特に日本語以外の言語を扱うサイトでは通常の記事更新でもエラーを起こすこともあるため、注意が必要です。
リアライズでは、サイト公開前にWAFの設定確認とテストも行っており、公開後のセキュリティ対策についてもサポート可能です。WAFについて気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。